運送業における巡回指導
巡回指導とは
運送業の事業者には、2年に1回程度の周期で適正化事業実施機関であるトラック協会の適正化指導員(以下、巡回指導員)が営業所にやって来て、事業者に点数をつけ、ランク付けします。
これを、巡回指導と呼びます。
また、行政が実施する監査とは別物です。
巡回指導員は、通常であれば2人1組でおよそ2時間程度の時間をかけて書類をチェックします。
巡回指導の日時は事前に手紙で連絡がくるので、自社の書類がどこにあるのかしっかり確認しておきましょう。
また、不備が確認できましたら、巡回指導までに整えましょう。
本ページでは、巡回指導の項目や適正化指導員がチェックする項目を解説いたします。
巡回指導に不安がございます御社の一助となれば幸いです。
また、行政書士堀内法務事務所では、大阪の運送業の許可申請に特化しております。
もちろん、巡回指導に先立って御社のコンプライアンスチェックも行っておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
巡回指導のチェック項目
トラック協会の巡回指導員が確認する事項は次のとおりです。
- 主たる事務所及び営業所の名称、位置
- 営業所に配置する事業用自動車の種別及び数
- 自動車車庫の位置及び収容能力
- 乗務員の休憩・睡眠施設の位置、収容能力
- 乗務員の休憩・睡眠施設の保守、管理
- 届出事項(役員、特定貨物の荷主の名称等)
- 白トラの利用等
- 名義貸し、事業の貸渡し等
- 事故の記録・保存
- 自動車事故報告書の提出
- 運転者台帳の記入・保存
- 車両台帳の整備・記入
- 事業報告書、事業実績報告書の提出
- 運行管理規程の制定
- 運行管理者の選任・届出(★)
- 運行管理者の講習
- 必要な員数の運転者の確保
- 過労防止のための拘束時間の管理の徹底(乗務基準の作成等)(★)
- 過積載による運送
- 点呼の実施及び記録・保存(★)
- 運転日報の作成・保存
- 運行記録計による記録及び保存・活用
- 運行指示書の作成・指示・携行・保存
- 乗務員の安全確保等の指導・教育・記録の保存(★)
- 特定の運転者に対する指導・教育・記録 <事故惹起者、新規採用者、高齢者(65才以上)>(★)
- 特定の運転者に対する適性診断 <事故惹起者、新規採用者、高齢者(65才以上)>(★)
- 整備管理規程の制定
- 整備管理者の選任・届出(★)
- 整備管理者の研修
- 日常点検の実施・記録
- 定期点検記録簿の保存(3・12ヶ月定期点検)(★)
- 就業規則の制定・届出
- 36協定の締結・届出
- 労働時間、休日労働の違法性
- 健康診断の実施・記録・保存(★)
- 労災保険、雇用保険の加入
- 健康保険、厚生年金保険の加入
- 運輸マネジメントの公表
巡回指導員は上記の38項目を事業者様が保管・作成している帳票類と照らし合わせながらチェックします。
なお、★印は重点項目です。
重点項目ができていなければ、評価(ランク)が1段階下がります。
ランクについては、後述いたします。
また、行政書士堀内法務事務所では、大阪の運送業の許可申請に特化しております。
当事務所では、巡回指導員と同様のチェック方法で御社のコンプライアンス状況を確認いたします。
巡回指導に不安がございます事業者様は、お気軽にお問い合わせくださいませ。
巡回指導の結果の告知
平成27年の10月から巡回指導の評価が告知されるようになりました。
(1)目的
告知されることとなった理由は、巡回指導員の巡回指導の結果を運送業の事業者様に告知することによって、自社のコンプライアンス状況を把握することによって、今後の営業等に目標を持たせることができ、コンプライアンス遵守が促進されると考えられています。
(2)告知の方法
巡回指導の結果、守られていない項目等が後日に送付されてきます。
その際に評価結果も同封されております。
電話等での問い合わせには、答えていただけません。
(3)評価の基準
巡回指導員が守られている調査項目の割合から、事業者様をランク分けします。
- Aランク - 90%以上
- Bランク - 80%~90%未満
- Cランク - 70%~80%未満
- Dランク - 60%~70%未満
- Eランク - 60%未満
(4)結果に対する効果
評価は5段階に分けられており、DまたはEランクとなった場合には、再度の巡回指導が実施されます。
それでも改善されていないければ、行政からの監査が実施されます。
行政書士堀内法務事務所では、Cランクを目指すのではなく、最低でもBランクを目指したコンプライアンスのチェックをさせていただいております。
また、当事務所は大阪の運送業の許可申請に特化しており、不足している申請等にも素早く対応することができます。
高ランクを目指す事業者様は、是非ご相談くださいませ。
巡回指導の際に準備する帳票類
巡回指導では、下記の帳票類を確認します。
- 認可申請書等の控え
- 運転日報
- 事故記録簿
- 自動車事故報告書
- 運転者台帳
- 車検証の写し
- 事業報告書及び事業実績報告書
- 運行管理規程・整備管理規程
- 運行管理者・整備管理者の選任届
- 運行管理者手帳
- 整備管理者選任後研修受講確認記録
- 点呼記録簿
- 日常点検簿
- 運行記録計等
- タコグラフ等
- 運行指示書
- 乗務員指導記録
- 該当者の運転記録証明書及び教育記録
- 該当者の適性診断受診票
- 健康診断受診票
- 就業規則届の控え
- 36協定届の控え
- 出勤簿
- 賃金台帳
巡回指導員は、調査項目に沿った確認はもちろん、帳票類同士の整合性も確認されるため、付け焼き刃で準備すると矛盾が発生し、そこを突っ込まれたりすることが多々あります。
また、巡回指導の実施において用意しておくべき帳票類は事前に連絡がございますので、ご安心くださいませ。
その際に不足・不備がございましたら、巡回指導までに準備しましょう。
帳票類の準備に不安がございます事業者様は、運送業の許可申請に特化している、行政書士堀内法務事務所にお気軽にご相談くださいませ。
重要帳票類の解説
いくつのかの帳票類について、解説いたします。
(1)運転日報
巡回指導では、運転日報とタコグラフを照らし合わせて矛盾がないのかをチェックします。
また、昨今のトラック事故が過労が大きな原因だと考えられているので、特に厳しくチェックされる帳票類の一つです。
運転日報から次の時間を確認します。
- 拘束時間
始業時間から終業時間までの時間。 労働時間と休憩時間の合計時間。また、休憩・仮眠時間も含みます。
原則として、1日13時間まで。拘束時間を延長する場合でも、最大拘束時間としては、16時間です。
ただし、1日の拘束時間として、15時間を超えてもいい回数は1週間に2回までと決まっています。 - 労働時間
作業時間、手持ち時間、待機時間の合計。また、時間外(残業)労働、休日出勤の労働時間も含みます。 - 休息期間
勤務後から次の勤務までの間の時間。睡眠時間を含みます。
原則として、8時間以上連続した時間を休息期間として扱われます。
1回の休息期間の長さが継続して4時間に満たない場合は、休息期間として扱われません。
この時間は休憩時間としてカウントされ、休憩時間は拘束時間に含まれます - 休憩時間
労働時間が6時間を超える場合は45分以上の休憩が必要です。
また、8時間を超える場合は、1時間以上の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。
(2)点呼簿
運送業の事業者には、対面点呼が義務付けられています。
点呼は原則として、運行管理者が行います。
ただし、運行管理者が1/3以上の点呼を実施していれば、法令違反とはなりません。
点呼簿の記載事項は次のとおりです。
- 点呼執行者名
- 運転者名
- 運転者の乗務に係る事業用自動車の自動車登録番号または識別できる記号、番号等
- 点呼日時
- 点呼方法
- 酒気帯びの有無
- 運転者の疾病、疲労等の状況
- 日常点検の状況
- 指示事項
- その他必要な事項
点呼を行った際の報告や指示内容は、運転者ごとに記録し、その記録を1年間保存しなけ ればなりません。
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