自動車運送事業者の社会保険等の未加入・未納対策の強化について
自動車運送事業者(以下「事業者」という。)の健康保険及び厚生年金保険(以下「社会保険」という。)並びに労働者災害補償保険及び雇用保険(以下「労働保険」と、「社会保険及び労働保険」を「社会保険等」という。)の未加入状況等の照会等については、国土交通省と厚生労働省及び日本年金機構との間で確認の上、照会制度については、本通達に基づき運用してきたところである。
今般、貨物自動車運送事業の適正な運営及び健全な競争環境の整備を図るため、社会保険等の未加入に加え、当該保険料の未納対策を強化し、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号。以下「トラック法」という。)に基づく事業の許可等に際して社会保険等の加入及び当該保険料の納付を必要な項目とし、社会保険等の未加入・未納事業者に対しては、トラック法第24条の4第1項第2号の規定に基づき、行政処分等を実施することとする。
ついては、令和元年11月1日以降、事業者の社会保険等の未加入・未納(旅客自動車運送事業者は未加入のみに読み替える。以下同じ。以下単に「未加入・未納」という。)については、下記により適切に処理されるとともに、関係都道府県労働局、関係健康保険組合及び関係年金事務所(以下「社会保険等関係機関」という。)との一層の連携を図り、自動車運送事業の適正な運営及び健全な競争環境の整備が図られるよう取り組まれたい。
本通達について、厚生労働省とは別添1及び2のとおり協議済みであるので申し添える。
1.社会保険等の未加入・未納に係る関係機関への照会制度について
(1)新規許可時の事業者に対する対応について
① 社会保険等への加入及び納付に関する指導
運輸支局(神戸運輸監理部兵庫陸運部及び沖縄総合事務局陸運事務所を含む。以下同じ。)において許可書交付の際に行う関係法令遵守のための講習の開催時又は許可書交付時に諸注意を行う際には、厚生労働省及び日本年金機構が作成した社会保険等への加入及び当該保険料の納付に関するリーフレットを配布するなどの方法により、加入及び納付の徹底を図ること。
なお、リーフレットの必要部数を含めた入手方法については、社会保険等関係機関と適宜、連絡を行い送付を受けること(社会保険等関係機関へリーフレットの入手について依頼する場合は別紙1を参考とされたい。)。
② 運輸開始届出時の確認
運輸開始届出書を受理する際においては、次のとおり確認を行うこと。
ア 「(健康保険・厚生年金保険)新規適用届(写)」、「(健康保険・厚生年金保険)被保険者資格取得届(写)」、「労働保険/保険関係成立届(写)」及び「労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(写)」等(以下「加入確認書類」という。)を添付させ、運輸開始日までの間に社会保険等に適正に加入していることの確認を行う。
イ 運輸開始届出書に加入確認書類の添付がない場合は、事業者に対し加入状況を確認した上で、運輸開始届出書を受理すること。
ウ 初回の社会保険等の保険料の納付期限が到来する日までの間に、当該保険料を適切に納付するよう指導すること。なお、運輸開始届出時に当該保険料の納付期限が到来していることが確認できた場合には、必要に応じて社会保険等の保険料の領収証書(写)(以下「領収証書(写)」という。)を添付させ、運輸開始日の属する月(労働保険においては運輸開始日の属する年度)以降の保険料が納付されていることの確認を行うこと。
③ 監査等の実施
運輸開始届出書を受理する際に加入確認書類がなく、運輸開始日から社会保険等への適正な加入が認められない場合は、監査等を実施すること。
また、運輸開始届出書を受理する際に領収証書(写)がなく、初回の保険料の納付期限到来後も領収証書(写)の提出がないため、保険料の納付が認められない場合は、監査等を実施すること。
④ 関係機関への照会
地方運輸局長(神戸運輸監理部長及び沖縄総合事務局長を含む。以下同じ。)又は運輸支局長(以下「地方運輸局長又は運輸支局長」を「地方運輸局長等」という。)において、監査等を実施した結果、社会保険等の未加入・未納が確認された場合、若しくは、社会保険等の加入・納付状況が確認できなかっ
た場合には、地方運輸局長等は、次のとおり社会保険等の加入・納付状況について照会すること(地方運輸局長が照会する場合には、当該事案を管轄する運輸支局長を経由して行うこと。)
上記のうち、社会保険等の保険料の納付状況については、地方運輸局長等は、監査等において、事業者に領収証書(写)又は社会保険の保険料の納付状況を確認するための書類(写)(「社会保険料納入証明書」及び「滞納金額目録」(未納がある場合に限る。)。以下「納付確認書類」という。)の提出を求めて確認することとし、事業者から領収証書(写)又は納付確認書類の提出がない、若しくは、提出された領収証書(写)又は納付確認書類により納付状況が確認できない場合には、次のとおり社会保険等の保険料の納付状況について照会すること(地方運輸局長が照会する場合には、当該事案を管轄する運輸支局長を経由して行うこと。)。
なお、地方運輸局長等は、社会保険等の加入・納付状況を照会する際は、事前に事業者へその旨を説明した上で行うこと。
ア 社会保険については、関係年金事務所長(事業者が健康保険組合に加入している場合は、関係年金事務所長に加え、当該健康保険組合理事長)に対して、別紙2-1又は2-2の様式により行うこと。
イ 労働保険については、関係都道府県労働局長(都道府県労働局総務部(労働保険徴収部)労働保険徴収主務課室及び職業安定部雇用保険主務課)に対して別紙3の様式により行うこと。
なお、社会保険等関係機関に対して社会保険等の加入・納付状況について照会する場合の様式への記載上の留意事項は別紙4のとおりである。
⑤ 行政処分等
地方運輸局長は、社会保険等関係機関に対して社会保険等の加入・納付状況について照会し、未加入又は未納である旨の回答を得た場合は、道路運送法(昭和26年法律第183号。以下「運送法」という。)第86条第1項若しくはトラック法第24条の4第1項第2号又は第59条第1項違反として、行政処分等の基準に基づき処分等を行うこと。
ただし、社会保険等の保険料の未納が確認された場合であって、当該未納額が社会保険等の保険料を滞納したことによる延滞金又は延納利息に相当する額のみである場合はこの限りでない。
(2)許可後の事業者に対する対応について
① 貨物自動車運送事業者に係る未加入・未納事業者の把握方法について
ア 未加入・未納事業者の把握
社会保険等の加入及び当該保険料の納付が適正になされていない事業者については、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関(以下「地方実施機関」という。)からの報告、地方運輸局等における監査等を通じて把握に努めること。
イ 地方実施機関との連携
地方実施機関から的確な報告が行われるよう、地方実施機関に対し、次の事項について指導すること。
a 巡回指導に際しては、社会保険等の加入・納付状況を調査すること。
b 社会保険等の加入・納付状況を調査するに当たっては、巡回指導を実施する旨を事業者へ通知する「巡回指導実施通知書」に、あらかじめ、社会保険等の保険料を納付していることを証する書類として事業者が保有する「領収証書(写)」若しくは年金事務所から交付を受けた「社会保険料納入証明書」及び「滞納金額目録(未納がある場合に限る。)」等、又は社会保険等の保険料の分割納付が認められていることを証する書類として事業者が保有する当該許可通知書(写)等を、巡回指導時に確認できるよう準備しておく旨明記すること。
c 巡回指導に際し、社会保険等の適正な加入及び当該保険料の納付がなされていない事業者を認めた場合には、当該事業者に対して適正な加入及び納付を指導し、事後の改善報告書(社会保険等の適用関係届の写し又は領収証書(写)等、改善が確認できる書類等を添付したもの)の提出を求めるなど、改善のための指導を徹底すること。
d 巡回指導に際し、社会保険等の適正な加入及び当該保険料の納付がなされていない場合は、地方実施機関において作成している「巡回指導報告書」を活用するなどして、運輸支局へ報告すること。
ウ 地方実施機関からの上記報告において、社会保険等の適正な加入及び当該保険料の納付が認められない場合は、監査方針に基づき、巡回監査等を実施すること。
② 巡回監査等及び行政処分等
地方運輸局等において、(1)③及び④と同様に巡回監査等及び社会保険等関係機関への照会を実施した結果、社会保険等の未加入・未納が確認された場合は、運送法第30条第2項違反若しくはトラック法第24条の4第1項第2号又は第25条第2項違反として、行政処分等の基準に基づき処分等を行うこと。
ただし、社会保険等の保険料の未納が確認された場合であって、当該未納額が社会保険等の保険料を滞納したことによる延滞金又は延納利息に相当する額のみである場合はこの限りでない。
(3)処分結果等についての関係機関への連絡について
地方運輸局長は、社会保険等の未加入・未納事業者に対して行政処分等を行った場合は、当該処分結果について、別紙5の様式により、速やかに社会保険等関係機関に通知することとする。
2.本省への報告について
上記照会制度の実施状況については、別紙6の様式により、四半期毎に取りまとめの上、上半期分は12月末までに、下半期分は6月末までに、全体については安全政策課、旅客自動車運送事業については旅客課、貨物自動車運送事業については貨物課あて報告することとされたい。
3.情報の適正な取扱い
地方運輸局長等は、社会保険等関係機関から提供された社会保険等の加入・納付状況に関する情報(以下「提供情報」という。)について、次の事項に従い取り扱うこととする。
(1)地方運輸局長等は、本通知の目的の達成に必要な範囲を超えて、提供情報を保有してはならない。
(2)地方運輸局長等は、提供情報を本通知の目的以外の目的に使用してはならない。
(3)地方運輸局長等は、提供情報を他に漏らしてはならない(地方運輸局長等が本省、地方実施機関又は当該事業者に情報を提供する場合を除く。)。
(4)地方運輸局長等は、提供情報について、情報の重要性に鑑み、滅失及び漏えい等が生じることのないよう適切に管理すること。
4.その他
社会保険等への適正な加入及び当該保険料の納付については、社会保険等関係機関との密接な連携が必要であることから、運輸支局においては、必要に応じ、社会保険等関係機関と連絡調整を図るための会議等を開催するなどにより、次の事項について、相互に情報を交換することとされたい。
(1)事業者の社会保険等の未加入・未納の状況
(2)未加入・未納に対する処分状況
(3)社会保険等関係機関の指導状況
(4)その他、適正な社会保険等への加入及び当該保険料の納付の実効性を上げるために必要な事項
引用元:自動車運送事業者の社会保険等の未加入・未納対策の強化について
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。