トラック事業者の法令遵守の徹底を図るための措置について

トラック事業者の法令遵守の徹底を図るための措置について|大阪の運送業許可に特化した行政書士

トラック事業の健全な発達及びトラックドライバーの労働条件の改善を図るため、「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(平成30年法律第96号)」が平成30年12月に公布されたところである。

トラック事業の継続的な安全性を確保するとともに、それに資することとなるトラックドライバーが安心して働ける環境を形成するためには、悪質な法令違反が常態化していると認められる事業者に対し、早期に改善を促すことが必要であることから、「自動車運送事業(一般貸切旅客自動車運送事業を除く。)の監査方針について(平成25年9月17日付け国自安第137号、国自旅第217号、国自貨第55号、国自整第161号)」による監査の実施にあたっては、令和元年11月1日より、下記のとおり取扱うこととしたので留意されたい。なお、「トラック事業者の法令遵守の徹底を図るための措置について(平成30年3月30日付け事務連絡)」は廃止する。

1.適正な事業が行われていない可能性が高い事業者(営業所)に対する監査強化運輸支局(神戸運輸監理部兵庫陸運部及び沖縄総合事務局陸運事務所を含む。以下同じ。)は、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関(以下「地方実施機関」という。)が実施する巡回指導(以下、単に「巡回指導」という。)の総合評価が「E」となった営業所に対して、以下の手順により監査等の対応を図ることとする。

なお、巡回指導の総合評価が「D」となった営業所に対しても、可能な限り以下により監査等の対応を図ることとする。

(1)特定の違反項目について改善が図られない営業所

① 巡回指導実施後に地方実施機関が発出する改善指導通知書に記載された改善事項(以下、単に「指摘事項」という。)のうち、以下の全ての項目が改善結果報告において未改善(一部未改善の場合を含む。)であった営業所、又は以下の項目が期限内に改善結果報告の提出がない営業所に対しては、地方実施機関から速報事案として報告を受けた日から3か月以内(新規巡回指導の場合にあっては、原則1か月以内)に監査を実施することとし、当該監査の実施方法については、原則「臨店による監査」とする。なお、以下のいずれもの事項について、監査実施予定日前日までに改善が確認された場合は、この限りではない。

ア 点呼の実施等が不適切であることが確認されたこと

イ 運転者の過労防止等に係る措置が不適切であることが確認されたこと

ウ 運転者のうち健康診断を2名以上受診していないことが確認されたこと

② ①の監査を実施する場合にあっては、①アからウの項目を重点事項として調査することとする。

③ 地方運輸局(沖縄総合事務局を含む。以下同じ。)は、上記①により実施した監査により判明した違反事項については、原則として監査実施日から3か月以内に行政処分等を行うこととし、遅れる場合であっても6か月以内に実施することとする。

なお、①アからウのいずれもの項目について、自動車等の使用停止処分以上の法令違反が確認された場合は、「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」(平成21年9月29日付け国自安第73号、国自貨第77号、国自整第67号。以下「行政処分等の基準」という。)の基準に基づく行政処分に併せて、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第23条に規定する貨物自動車運送事業者に対する輸送の安全を確保するために必要な措置を講ずるべきことの命令(以下「輸送の安全確保命令」という。)をすべての輸送の安全に係る項目(自動車等の使用停止処分以上の項目に限る。)について発令することとする。

④ ③の行政処分及び輸送の安全確保命令の後、当該行政処分等に係る違反事項について改善が図られていることを確認するために運輸支局が実施する改善確認監査において、①アからウのいずれもの項目について改善が認められない場合には、再度の行政処分等を行うことなく、行政処分等の基準に従い、許可の取消し処分を行うこととする。

なお、①アからウのいずれかの項目及び他の輸送の安全確保命令を発令した項目について改善が認められない場合には、行政処分等の基準に従い、自動車等の使用停止処分等を行うこととする。

⑤ ①の監査のほか、地方実施機関からの他の速報事案、道路交通法(昭和35年法律第105号)第108条の34の国家公安委員会からの通知等により実施した監査に基づいて判明した違反事項のうち、行政処分等の基準5(1)①から⑤に掲げる項目のいずれかに該当する法令違反が確認された場合は、③及び④の規定に基づき措置することとする。

なお、③及び④の「①アからウのいずれもの項目」を「行政処分等の基準5(1)①から⑤に掲げる項目」に読み替えることとする。

(2)改善期限までに改善結果報告がない営業所

① 指摘事項について、巡回指導実施日から3か月後(以下「改善期限」という。)までに地方実施機関に対して改善結果報告を行わなかった営業所(改善結果報告を行ったものの指摘事項のすべてについて改善が認められない営業所を含む。)に対しては、原則として改善期限から6か月以内に監査を実施することとするが、遅れる場合であっても12か月以内に必ず実施することとする。なお、当該監査の実施方法については、原則「臨店監査」とするが、指摘事項に応じて判断することとする。

② ①の「臨店監査」を実施する場合にあっては、巡回指導により「否」と判定された項目を重点事項として、特に「健康診断の実施、適正な記録・保存」、「健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険への加入及び納付」の状況は必ず調査することとし、「呼出監査」を実施する場合にあっても、「健康診断の実施、適正な記録・保存」、「健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険への加入及び納付」の状況について必ず調査を行い、その他巡回指導により「否」と判定された項目から事業者の状況に応じた重点事項を定めて調査することとする。

③ 地方運輸局は、上記①により実施した「臨店監査」又は「呼出監査」に基づいて判明した違反事項について、改善期限から24か月以内に行政処分を行うこととする。

④ ③の行政処分の後、当該行政処分に係る違反事項について改善が図られていることを確認するために運輸支局が実施する改善確認監査において、改善が認められない事項がある場合には、呼出監査に切り替え改善されていない違反事項を指摘し、再度、行政処分を行うこととする。

(3)改善期限までに報告があったもので、未改善事項がある営業所

① 事業者が指摘事項について、改善期限までに地方実施機関に対して改善結果報告を行ったものの、未改善事項がある営業所に対しては、地方実施機関が当該営業所へ再度の改善指導を行う際に、運輸支局は地方実施機関と連携を図り、当該営業所に対して以下の事項を記載した「改善促進通知書」(別紙)を発出することとする。

事業者に通知した場合にあっては、地方実施機関に対して事業者に「改善促進通知書」を発出した旨の情報を共有することとする。

ア 当該未改善事項について、3か月以内に全て改善を図り、地方実施機関に対して、再度、改善が終了した旨の報告を行わなければならないこと。

イ 上記アの改善結果報告が行われず、また、改善が見込まれない場合には、運輸支局が監査を実施することとなること。

② 運輸支局は、上記①の再度の改善指導に対する改善結果報告が行われないなど改善が見込まれない営業所に対して、原則として改善期限から6か月以内に監査を実施することとするが、遅れる場合であっても9か月以内に必ず実施することとする。

なお、当該監査の実施方法については、原則「臨店監査」とするが、指摘事項に応じて判断することとする。

③ 以降の実施方法については、(2)②から④までに準ずるものとする。

2.新規参入事業者に関する措置

新規に事業許可を取得した事業者については、運輸開始当初の事業運営体制が継続的に維持され、法令を遵守した事業運営が継続的に行われているかどうかが、必ずしも確認しにくい面があることに鑑み、運輸支局は、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する営業所に対して、前記1.(2)・(3)の手順に沿って監査を実施するものとする。

(1)地方実施機関の新規巡回指導(運輸開始から3か月以内に実施)の総合評価が「D」

(2)当該新規巡回指導の次に実施される巡回指導(新規巡回指導から2~4年以内に実施)の総合評価が「D」

3.特定の違反行為が疑われる事業者(営業所)に対する監査強化

運輸支局は、巡回指導の総合評価が「E」以外の営業所に対しても、当該巡回指導において「適正な定期点検・整備の実施、記録の保存」、「健康診断の実施、適正な記録・保存」、「労災保険・雇用保険への加入、納付」及び「健康保険・厚生年金保険への加入、納付」の4項目(以下「基本項目」という。)すべてが「否」と判定され、かつ、前回の巡回指導においても基本項目すべてが「否」と判定された営業所に対して、前記1.の手順に沿って監査を実施することとする。

4.その他

(1)本事務連絡による監査の実施にあたっては、地方運輸局が単独又は運輸支局と合同で実施することを妨げるものではない。また、上記1.~3.の他に、監査を実施することを妨げるものではない。

(2)監査等の実施に当たっては、これまでも「地方貨物自動車運送適正化事業実施機関からの悪質性の高い営業所に係る巡回指導結果の報告等の強化について」(平成25年3月29日付け国自安第161号、国自貨第128号、国自整第216号)に規定する定例会議の場の活用等、運輸支局と地方実施機関との間で十分な連携が図られているところであるが、引き続き、改善の進捗状況等の情報共有など、より緊密な連携を図ることにより地域の実情も踏まえつつ効率的かつ効果的に取り組むこととされたい。

引用元:トラック事業者の法令遵守の徹底を図るための措置について

 
 

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