運輸局がコンプライアンスに厳しいわけとは?
運輸局がコンプライアンス(法令遵守)に厳しいわけとは?
昨今、運送業のトラックによる悲惨な事故が多く発生しています。
また、大型トラックが事故を起こせば、およそ重大事故につながり、被害は甚大に及びであろうことは容易に考えつきます。
そういった事情もあり、行政は事故防止のためにコンプライアンスに厳しいのです。
コンプライアンス違反による倒産
運送業界においては、価格競争が苛烈化しており、低価格でサービスを提供するためにコンプライアンスが軽視されている状況は否めないと言えるでしょう。
従って、当然にコンプライアンス違反が発生いたします。
そして、コンプライアンス違反を指摘され、行政から指摘・処分されると、改善するよりも倒産を選ぶ運送事業者様が増加している印象を受けます。
コンプライアンスを徹底すると、それはすなわち中小企業の運送業にとって、死活問題となるという矛盾を孕んでいるのです。
こういった負の連鎖を止めるためには、サービスに見合った報酬(運賃)が必要となるのですが、新規参入者が多い業界だと、顧客を獲得するために低価格で営業してしまうのです。
これについては、行政書士などを含む士業であっても、同様のことが言えるでしょう。
データからみる倒産動向
帝国データバンク(TDB)が昨今、発表した「第9回コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」を参照しましたところ、2012年度のコンプライアンス違反を原因とする倒産は200件に上り、過去最多を記録しました。
ここで注目すべき点は、運送事業者の法令違反(コンプライアンス違反)による倒産が急増していることです。
関越自動車道で発生したバスの死亡事故を覚えていらっしゃいますでしょうか。
当該死亡事故以降、監査が厳格化されました。
監査が厳格化されたことで、コンプライアンス違反が多く指摘され、多くの運送業が行政処分なされました。
また、燃料等の高騰による経営の逼迫も見逃せない点です。
そういった経営環境の厳しさが増す中で、コンプライアンス違反による車両停止や営業停止の処分がなされると、運送事業者へのトドメとなることは言うまでもありません。
近年では、金融機関に対する融資の返済猶予も認められないことが多いことも一因となっています。
なぜ運送事業者はコンプライアンス違反を犯すのか
TDBの調査からも、コンプライアンス違反による運送事業者の倒産率は顕著です。
なぜ、運送事業者のコンプライアンス違反による倒産が顕著なのか思案しました。
行政による処分が厳格化された背景はもちろん、「コンプライアンス経営」という話題になると「法律なんて守ってられない」という声が聞こえてくる現実があります。
しかし、見る方向を変えてみると、法令を遵守できない事業者というのは、運送事業者に関わらず常に倒産のリスクのある会社です。
そういった運送事業者を使うことは、荷主にとって非常にリスキーなのです。
しかし、法令を遵守するための運賃を請求されること(運賃が上がること)は荷主にとっても事業の存続に関わる事項なのです。
価格に見合ったサービスを提供できることを荷主にアピールすることも重要ですが、荷主がそのための運賃を許容することも重要と言えるでしょう。
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